●本稿は科学技術社会論学会・第6回年次研究大会(2007/11/10-11,東京工業大学大岡山キャンパス)における口頭発表の要旨をHTML化し,実行委員会のご了解を得て転載したものです.今後適宜追記する予定です.
緑色文字の記事は発表当日に追加した内容です.
●参考:当日の発表で用いたPower Point原稿(事例を中心とした抜粋)

Web2.0の広がりと科学コミュニケーション

本間善夫(県立新潟女子短期大学)

1. はじめに
 前報1)において,近年大きな広がりを見せている“Web2.0”的なキーワードをいくつか紹介しつつ,科学コミュニケーション領域での活用の可能性を検討した。その後も社会全般その勢いは加速し,次々と登場・バージョンアップするサービスを大学や教育の場でも利用することが当たり前になり,それが宣伝材料にもなるに至っている。
 また,Web2.0をテーマにした論文2,3)や雑誌特集4,5)も見られるようになり,学術分野での取り上げられ方も今後一層注目される。
 日本における「知の集積」やCGM(Consumer Generated Media)などWeb2.0の活用のされ方については,期待する意見と必ずしもそうではない意見が並立しているが6,7),前向きな評価を増やしていくためには個々人の積極的な参加が必要であろう。これは改訂作業中の学習指導要領「言語力」育成が柱とされる中8),表現力やディベート能力の向上のためにもWeb2.0の有効利用が必要と考えるからである。
 ここでは,以上のことを念頭に最近の関連ニュースを紹介し,筆者の実践例についても報告する。

2. 2007年5月〜8月のネット上の記事から(大学・教育関連)
 Web2.0のキーワード毎に,最近の注目ニュースを列挙する。

3. 多様なメディアと科学コミュニケーション
 例えば佐々木の成書「フラット革命」7)に書かれているように,新聞などのマスメディアとネットメディア・CGMとの関係がしばしば取り沙汰される。その将来的な勢力地図の予想はさておき,現在は相補的な関係も見られるのも事実である。一部を除いて取材力を持たないCGMでの情報発信者が,既存メディアの情報を頼りにするのは日常的である一方,マスメディアもCGMの情報を頼りにして紹介したり反応をチェックせざるを得ないのが実情となっている。
“相補的”の実例として,新聞記事の誤記が内容をチェックしないブロガーによって記事として多数記載された際,筆者ブログでそのことを書くことによって誤記による検索において上位に出るようになった例が図1である。その他にも,ネットメディアの科学記事の間違いをメールで修正依頼した経験などから,専門家がいろいろなメディアをチェックしたり,正しい情報を発信したりする活動が必要な時代になったと考えている。



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