◆ 化学トピック集 (2) ◆  化学トピック集 (1)


※1999年度以降は,「分子の形と性質」学習帳でもトピックスを掲載します.

ページ作成日(随時情報追加) & 内容・キー化合物など


1999/10/20


1999/10/01


1998/12/15

 1998/12/13 の朝日新聞に,1950年代のデザインを復刻したジーンズに,防弾チョッキなどにも用いられる超硬繊維のケブラー繊維を用い,Web上で販売開始とのニュース.ケブラーは,芳香族ナイロンの一種でデュポン社の商標.製品は,ケブラーを綿で包んで色彩や肌触りを保持させているとのこと.
 主鎖がアミド結合 -CONH- で繋がった高分子をポリアミドまたはナイロンといいますが,芳香族であるベンゼン環が主鎖に入ったポリアミドをアラミドと呼びます.強度や耐熱性に優れたエンジニアプラスチックですが,最近ではアウトドア製品などにも広く用いられているようです.


1998/10/21

 1998年のノーベル化学賞は,分子の反応性を説明する計算化学の手法を考案した,カルフォルニア大学サンターバーバラ校のウォルター・コーン教授とノースウェスタン大学のジョン・ポープル教授の2名に.1998/10/21 の朝日新聞科学欄に,60年代にコーン教授が電子の状態を近似計算する「密度汎関数法」を編み出し,70年にポープル教授が実用につながる計算プログラムを開発したとの解説があり,その手法による計算例としてアミノ酸のシステインの分子モデル図が掲載されています.
 上図は,そのモデルを参考にして類似の分子モデルを組立て,ChemscapeChime の“Electrostatic Potential”表示機能(Red-White-Blueモード)を利用して得た画像で,あくまで参考図です(同機能については「分子の学習帳」参照).
 密度汎関数法の精度は年々精度が向上し,大きな分子や結晶などを扱う時に有用な方法になっています.ポープル教授の非経験分子軌道法プログラムGausssianも次々と改良され,1992年には密度汎関数法も取り入れています.
 計算化学は,新しい薬剤分子の設計や,今話題の環境ホルモンの作用を解明していくなど,基礎・応用の多くの分野で無くてはならない手法となっています.


1998/06/09

 1998/06/08 のテレビニュースで,幻覚作用を引き起こす“2C-B”と呼ばれる化合物が,麻薬として指定されたとのニュース(詳細は三重大学医学部有志による医学ニュース情報参照).化合物名は 4-bromo-2,5-dimethoxyphenethylamine( C10H14BrNO2,分子量=260.13)で,ChemFinder Searchingにより詳細情報を検索できます.
 青少年の薬物汚染が大きな社会問題になっていますが,また新しい化合物が加わったことは憂慮すべきことです.本ページ内の「薬物事典」関連リンクも参照して,化学物質の誤った利用を根絶していく意識を持って欲しいと考えます.
[追加情報] 厚生省のページに関連情報「麻薬、向精神薬及び麻薬向精神薬原料等を指定する政令の一部を改正する政令について」(98/06/09)掲載.


1998/05/27

 1998/05/15 の朝日新聞に『がん防ぐミカン』と題して,1日1個のミカンが,がん予防に効果があるとの記事が出て話題になっています.農水省果樹試験場などのグループの研究成果で,かんきつ類の色素の一種β-クリプトキサンチンや皮に含まれるオーラプテンに,強い発がん抑制効果が認められたという内容です.詳細は「がん予防食品としてのカンキツ果実」(果樹試験場,1998/05/13)をご覧ください.
 なお,β-クリプトキサンチンは,本ページの『モノはなぜ見える』で紹介したβ-カロチンと同じカロチンで,プロビタミンA作用を持ちます.「野菜の基礎栄養学/カロチン」のページ(全国野菜需給調整機構)も参照してください.


1998/05/09

 前トピックで,モノが見えるのは網膜上の視物質中にある分子の“変身”が原因であることを説明しました.面白いことに色素の方にも,熱・光・電気エネルギーなどの影響で“変身”して色が変化するものがあります.このうち,加熱により変色し,冷却するともとの色に戻る現象をサーモクロミズムといい,スキーウェアやお風呂のおもちゃなどに利用されています.また,光(紫外線または短波長の可視光線)の照射によって可逆的に変色する現象をフォトクロミズムといい,光記録材料として注目されています.上図は有機フォトクロミック化合物の例です.
 なお分子が色を持つためには,可視光線(波長でおおよそ400nm〜800nm;1nm = 10-9m )を吸収する必要があり,吸収光の色と観察される色は補色の関係にあります.その要件を満たす分子構造上の例の一つが,長い共役二重結合系(単結合と二重結合が交互に連なっている構造)を有することで,さらに分子全体が平面構造を持つと,比較的エネルギーの低い可視光を吸収しやすくなります.上の例でも,閉環していない左側の分子が紫外線を吸収して無色なのに対し,フルギド閉環体はその要件に近づいており,紫外線よりエネルギーの低い可視光(光の波長とエネルギーは反比例)を吸収するようになる簡単な説明になっています.色素化合物については,最近の計算機化学でもより詳細な研究が行われています.

[参考] 吸収光の色と観察される色の関係 (1nm = 10-9m)
吸収光 観察される色
(補色または余色)
波長 / nm 吸収光の色
400〜435 緑黄
435〜480
480〜490 緑青
490〜500 青緑
500〜560 赤紫
560〜580 黄緑
580〜595
595〜610 緑青
610〜750 青緑
750〜800 紫赤
※「新染色加工講座3 染色系の基礎化学」,p.112,共立出版(1972)


1998/04/29

※このトピックは別ページに移転しました!


1998/04/10


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