◆ アトピー新薬/タクロリムス ◆
Jmol版

 1999/05/31の朝日新聞に,成人のアトピー性皮膚炎の新しい薬としてタクロリムス水和物の軟膏剤が中央薬事審議会で承認される見通しになったとのニュース.アトピー性皮膚炎の薬としてはステロイド外用薬が用いられていたが,副作用があったため,今回の薬はその副作用が無いのが大きな特徴となっている.ただし,皮膚への刺激が強いなどの欠点もあり,小児や妊婦への影響などについて今後も安全性調査や臨床試験が継続される.
 タクロリムス水和物は,もともと臓器移植の際の免疫抑制剤として用いられていたものである.


タクロリムス(tacrolimus)
C44H69NO12;分子量=804.03

※タクロリムス水和物(tacrolimus monohydrate)
C44H69NO12・H2O;分子量=822.05,融点=127-129℃

ChemFinder WebServerの化合物情報
Protein Data Bankの関連情報;1BKF(Isomerase)
Hetero-compound Information Centreの関連情報
タクロリムスの副作用情報の例医薬品等安全性情報
タクロリムスバイオ博物館「昔からあったバイオ:醸造技術」


【参考】Isomerase(異性化酵素)に結合している免疫抑制剤タクロリムス
  Eric MartzPDBページ(1bkf)から作成した画像.



タクロリムス(FK-506)結合タンパク質等で示す,タンパク質において離れているアミノ酸が協調作業を示している状態
2fke(LigandはFK-506)・1j4r(LigandはFKB-001,C35H42N2O6F2)を例に → PDB部分データリスト
左:2fke・1j4rと同じ下記アミノ酸配列ですべてα-helix構造にしたもの(MOLDA for Protein Modeling;http://www.molda.org/molda-p/download.html*で組立て)とSITE部位の強調表示
  GVQVETISPGDGRTFPKRGQTCVVHYTGMLEDGKKFDSSRDRNKPFKFMLGKQEVIRGWEEGVAQMSVGQRAKLTISPDYAYGATGHPGIIPPHATLVFDVELLKLE
中2つ:実際の2fkeとその活性部位(アミノ酸はすべてamino色表示)
右:2fkeの活性部位と同じ配列番号のアミノ酸をSITEとした1j4r
 ※参考:タンパク質の構築原理(理研ゲノム科学総合研究センター/タンパク質構造・機能研究グループ)*



A〜Cの3本のChainで囲まれたタクロリムスの例(1tco;C鎖のSITE配列は2fkeと同じ) → PDB部分データリスト