有機概念図で見る環境ホルモン関連分子(2)
= 内分泌かく乱作用に関する試験法開発研究(経済産業省化学物質審議会資料)から =

→ 関連資料:3次元構造活性相関手法(3D-QSAR)の紹介
有機概念図で見る環境ホルモン関連分子(1)

※計算に用いたExcel用有機概念図計算シート
※以下の図の解説は今後追加します
※新規情報,ビスフェノールAが結合したエストロゲン受容体γもご参照ください!



図1 経済産業省化学物質審議会資料で用いられた化合物の有機概念図上の分布
参考:他の環境ホルモン関連化合物の有機概念図(図2)

試験番号の分類
試験番号 種別
2 ステロイド
3 ベンゼン単環
4 非縮合多環
5 縮合多環
6 その他



図2a 受容体結合試験で求めた相対親和性値RBA(Relative Binding Affinity)とレポーター遺伝子アッセイによる相対活性強度RA(Relative activity)の関係


図2b 



図3 



図4a 



図4b 



図5 


図6a 1ere中の17β-estradiol(図のクリックで拡大)
※詳細は分子と分子の相互作用参照


図6b 1ere中の17β-estradiolのサイト部分の各種表現(図のクリックで拡大)
〔上左〕CPK表示,〔上中〕酸性・中性・塩基性アミノ酸区別,〔上右〕log P値順(アミノ酸)
〔下左〕hydropathy index順,〔下中〕有機概念図I/O値順(特性基 R),〔下右〕 同(アミノ酸)
PDBデータのLigand結合部位で作成


1ere_Aおよび1qku_Aのligand(17β-estradiol)結合site

※特性基RのI・O値を用いた計算例:1ereのSITE表示と有機概念図計算


アミノ酸および特性基の親水性・疎水性
タンパク質中の20種類のアミノ酸と同じものを転載;CAS番号クリックでChenFinder情報へ
アミノ酸 分子式 CAS RN hydropathy
index
O I I/O 特性基 R log P 酸性・塩基性 極性・非極性 等電点
O' I' I'/O'
Asn N アスパラギン H2NCOCH2CH(NH2)COOH 70-47-3 -3.5 80 420 5.250 40 200 5.000 -3.82 中性 極性(中性) 5.41
Ser S セリン HOCH2CH(NH2)COOH 56-45-1 -0.8 60 320 5.333 20 100 5.000 -3.07 中性 極性(中性) 5.68
Asp D アスパラギン酸 HOOCCH2CH(NH2)COOH 56-84-8 -3.5 80 370 4.625 40 150 3.750 -3.89 酸性 極性(酸性) 2.77
Gln Q グルタミン H2NCO-CH2CH2CH(NH2)COOH 56-85-9 -3.5 100 420 4.200 60 200 3.333 -3.64 中性 極性(中性) 5.65
Glu E グルタミン酸 HOOCCH2CH2CH(NH2)COOH 56-86-0 -3.5 100 370 3.700 60 150 2.500 -3.69 酸性 極性(酸性) 3.22
Thr T トレオニン CH3CH(OH)CH(NH2)COOH 72-19-5 -0.7 80 320 4.000 40 100 2.500 -2.94 中性 極性(中性) 6.16
Arg R アルギニン H2N(=NH)NHC3H6CCH(NH2)COOH 74-79-3 -4.5 120 410 3.417 80 190 2.375 -4.20 塩基性 極性(塩基性) 10.76
His H ヒスチジン H2NCH[CH2(C3H3N2)]COOH 71-00-1 -3.2 120 372 3.100 80 152 1.900 -3.32 塩基性 極性(塩基性) 7.59
Gly G グリシン H2NCH2COOH 56-40-6 -0.4 40 220 5.500 0 0 -3.21 中性 非極性(疎水性) 5.97
Lys K リシン H2N(CH2)4CH(NH2)COOH 56-87-1 -3.9 120 290 2.417 80 70 0.875 -3.05 塩基性 極性(塩基性) 9.74
Tyr Y チロシン HO(C6H4)CH2CH(NH2)COOH 60-18-4 -1.3 180 335 1.861 140 115 0.821 -2.26 中性 極性(中性) 5.66
Trp W トリプトファン (C8H6N)-CH2CH(NH2)COOH 73-22-3 -0.9 220 350 1.591 180 130 0.722 -1.05 中性 非極性(疎水性) 5.89
Cys C システイン HSCH2CH(NH2)COOH 52-90-4 2.5 100 240 2.400 60 20 0.333 -2.49 中性 極性(中性) 5.07
Met M メチオニン CH3SCH2CH2CH(NH2)COOH 63-68-3 1.9 140 240 1.714 100 20 0.200 -1.87 中性 非極性(疎水性) 5.74
Pro P プロリン (C4H8N)-COOH 147-85-3 -1.6 100 230 2.300 60 10 0.167 -2.54 中性 非極性(疎水性) 6.30
Phe F フェニルアラニン (C6H5)CH2CH(NH2)COOH 63-91-2 2.8 180 235 1.306 140 15 0.107 -1.38 中性 非極性(疎水性) 5.48
Ala A アラニン CH3CH(NH2)COOH 56-41-7 1.8 60 220 3.667 20 0 0 -2.85 中性 非極性(疎水性) 6.00
Val V バリン (CH3)2CHCH(NH2)COOH 72-18-4 4.2 90 220 2.444 50 0 0 -2.26 中性 非極性(疎水性) 5.96
Leu L ロイシン (CH3)2CHCH2CH(NH2)COOH 61-90-5 3.8 110 220 2.000 70 0 0 -1.52 中性 非極性(疎水性) 5.98
Ile I イソロイシン C2H5CH(CH3)CH(NH2)COOH 73-32-5 4.5 120 220 1.833 80 0 0 -1.70 中性 非極性(疎水性) 6.02
※hydropathy indexは以下を参照;Kyte and Doolittle, J. Mol. Biol., 157, 105-132(1982)
※log PはOn-Line Log P Calculation掲載の実験値
※極性・非極性はChimeのProtein選択様式と関連(参考ページ
《参考》分子と分子の相互作用(QSARと有機概念図から)〔特性基RのI・O値を用いた計算例:1ereのSITE表示と有機概念図計算


図6c エストロゲン受容体1ere,1err,3erd,3ertの共通site部分(siteは特性基の有機概念図I/O値順の着色).右端は4データの重ね合わせ(上ではligandは1ereの17β-estradiolが球棒表示で他はスティックモデル,siteは針金モデル.下では17β-estradiolがピンク,diethylstilbestrolが赤,raloxifeneが水色,4-hydroxytamoxifenが黄).
エストロゲン受容体4種のSite部分重ね合わせPDBデータのLigand結合部位(1ereの下の参考教材2)
※重ね合わせデータ作成方法は,複合分子と分子の重ね合わせ参照


図6d 〔左〕17β-estradiolとDES(濃色)の重ね合わせ,〔中〕同重ね合わせ分子を1ere中に配置した模式図(estradiolがスティック+Dot Surface,DESが球棒モデル),〔右〕分子ソフトAlchemy 2000により,1ereのサイトとestradiol+DES重ね合わせ分子の位置を手動で調整しているところ.データ保存後に秀丸エディタでデータを加工し,Chimeスクリプトにより表示変更を容易にした. → 加工方法
PDBデータのLigand結合部位の上記重ね合わせデータは,1ereと3erdのsite部分を重ね合わせたものから3erdのprotein削除したものに差し替えた(1ereの下の参考教材1).データファイルは上記加工方法と同様な処理をしている.



図7a 



図7b 



「分子の形と性質」学習帳 | 「生活環境化学の部屋」ホームページ