◆ 2000年度ノーベル化学賞/導電性ポリマー ◆
分子モデルで見るノーベル賞(Jmol版)

[TOPIC] 2003年の日本化学会西日本大会(2003/10/25-26,広島大学)において,白川英樹先生の特別講演が予定されています。「化学と教育」に掲載された白川先生へのインタビュー記事〈PDF〉もご参照ください(原報掲載のChemical Education Internationalには他のノーベル賞受賞者の記事も収録)。
 なお,同大会と同時開催される日本コンピュータ化学会2003秋季年会との合同ミニシンポジウム「バイオ・ナノ・計算機シミュレーション」も企画されています。
[TOPIC] 2002年度ノーベル化学賞/生体高分子の新構造解析法開発


 2000年のノーベル化学賞は,“導電性ポリマーの発見と開発”の業績により白川英樹筑波大学名誉教授,Alan J. Heegerカリフォルニア大学サンタバーバラ校教授,Alan G. MacDiarmidペンシルバニア大学教授の3氏に授与されました。

The Nobel Prize in Chemistry 2000

 以下に代表的な導電性ポリマー(conducting polymer)の分子構造例を示します。

※ 以下の高分子モデルは分子計算を行っていない状態のものです(繰り返し単位×2)。また,濃いピンク色部分は末端原子に隣接しているダミー原子で,原子種は“LP”にしてあります。“Electrostatic Potential”や“Molecular Lipophilicity Potential”などの表示は,計算時にエラーになるため実行できませんのでご注意ください(本サイト内でのChimeによる高分子の表示参照)。
導電性ポリマー ドーパントの例

ポリアセチレン
ハロゲン
五フッ化ヒ素(AsF5
アルカリ金属

ポリピロール
三フッ化ホウ素(BF3

ポリチオフェン
過塩素酸(HClO4

ポリp -フェニレン
五フッ化ヒ素(AsF5

ポリフェニレンビニレン
五フッ化ヒ素(AsF5
※引用:日本化学会 編,「現代化学の世界」,p.167,講談社ブルーバックス(1986)


 トランス型ポリアセチレンの電気伝導度は,10-4 S cm-1オーダー(シス型では10-9 S cm-1オーダー)であるが,ドーピングや重合方法の改変により飛躍的に電動度が向上してきている。ヨウ素ドーピングで38 S cm-1(1977年),五フッ化ヒ素(AsF5)ドーピングで102 S cm-1オーダーになり,1987年には改良Naarmann法による重合で1.2〜1.7×105 S cm-1と銅の半分に迫った。その後も改良・研究が続けられている。

※引用:白川英樹,『ポリアセチレンの新展開』,高分子,37(7),518(1988)



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