◆ 色をもつ分子(ポリエンとポリアセンを例に) ◆
Jmol版(モノはなぜ見える) [NEW!]

 染料などの有色分子は,可視領域に属する光(波長λがおよそ400nm〜800nm)を吸収する性質を持っており,われわれの目にはその補色(余色)に当たる色が感じられるのである.
 その要件を満たす分子構造上の例の一つが,長い共役二重結合系(単結合と二重結合が交互に連なっている構造)を有することで,さらに分子全体が平面構造を持つと,比較的エネルギーの低い可視光を吸収しやすくなる.
 以下にそのわかりすい例を示そう.


ポリエン(polyene) H(CH=CH)nH の場合

n 分子構造・化合物名 吸収波長 λmax/nm
2 1,3-butadiene 217
3 1,3,5-hexatriene 268
4 1,3,5,7-octatetraene 304
5 1,3,5,7,9-decapentaene 334
6
1,3,5,7,9,11-dodecahexaene
364
7 1,3,5,7,9,11,13-tetradecaheptaene 390
8
1,3,5,7,9,11,13,15-hexadecaoctaene
410
10
1,3,5,7,9,11,13,15,17,19-icosadecaene
422


ポリアセン(polyacene)の場合

n 分子構造・化合物名 吸収波長 λmax/nm
1
benzene
203 無色
2
naphthalene
314
3
anthracene
370 淡黄
4
naphthacene
460
5
pentacene
580
6
hexacene
600

引用 「新染色加工講座3 染色系の基礎化学」,共立出版(1972)


 分子の吸収波長は,分子軌道計算によって計算することも可能になってきており,以下の文献等でも詳しく論じられている.


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